Interview. 2022.2.8

and Wacoal

肌触りと環境に配慮したインナー
「綿の贅沢 オーガニック」

株式会社ワコールホールディングスのWing(ウイング)ブランドから販売中のオーガニックコットン混インナー「綿の贅沢 オーガニック」には&+®が使用されています。
Wingで初のペットボトルリサイクル糸採用の裏側や、サステナブルへの思いについて、同社開発担当者へお伺いしました。

―ワコールさんのサステナビリティーについてお教えください。

昨年10月にワコールグループは、気候変動課題の解決と脱炭素社会の実現に向け独自の環境活動の目標を3つ設定しました。
2030年までに自社排出量「ゼロ」、製品廃棄「ゼロ」、環境配慮型素材「50%」の大きく分けて3つです。
自社排出量「ゼロ」については、日々の営業活動で発生する排出量を細かく調査し、再生エネルギーへ切り替えることで実現を目指します。
製品廃棄「ゼロ」については、現状全体の生産数量の内1%を廃棄しておりますが、そこをゼロにしていきます。また、発注のタイミングのずれなどで残材料が出てしまうケースがありますが、そちらを減らす取り組みも進めます。
環境配慮型素材の使用比率を「50%」に高める取り組みでは、&+®のようなリサイクル繊維や、オーガニックコットンのような環境配慮型素材の採用に注力していきたいなと思います。より循環型の繊維を使用することは、ものづくりを行う立場として、積極的に取り組む必要があると考えています。

―開発担当としてどういう思いで綿の贅沢オーガニックを開発されたのでしょうか。

リサイクル糸を扱うことによるお客様への心理的なデメリットを発生させないことはもちろん、むしろこれまで開発してきた商品の中でも「快適性」と「手に取りやすい価格」を実現し一人でも多くのお客様に愛され、時代の要求にも応えられる商品づくりを目指してきました。
今回春夏用の肌着に使用しておりますが、肌着はどうしても肌に触れる面積が大きいアイテムであることから肌ざわりが重要です。試作品を作り、お客様にお試しいただくというのを何度も繰り返し、春夏に適した肌ざわりを確立しました。
環境負荷をなるべく少なくすることも考慮し、希少なオーガニックコットンを使用することで薄く軽い清涼感にこだわり、脇の部分に縫い目のないサイドシームレス設計にすることで縫製糸の肌当たりを少しでも軽減できるよう工夫しています。機能性は&+®のチカラも活用し吸汗速乾性や通気性も備えた多機能オーガニックコットン混インナーに仕上げました。
手に取りやすい価格についてですが、ファッション産業は糸・生地・縫製の分業が一般的でそれぞれ異なる国で生産されることがあります。東レさんを含め関係メーカー様にもご協力いただき今回生産する国や場所を可能な限り集約することで輸送の距離・手間を減らし、環境負荷の軽減と手に取りやすい価格の実現を目指しました。

―数あるサステナブル素材の中でなぜ&+®をご採用いただけたのでしょうか。

2つ理由があります。1つ目はトレーサビリティです。
2~3年前にリサイクル繊維を探していた際、色々な選択肢がありましたが、本当にペットボトルリサイクル糸なのか確認を取るのが当時難しかったんです。
その際、東レさんから&+®にはペットボトルリサイクルであることを証明できるよう糸にマーカーのような目印(※フットプリント技術)が付いており管理できるというお話を伺い、安心感がありました。当時先進的であったと思います。

もう1つは品質についてです。我々の調査の結果、お客様にはリサイクル品の品質に対する不安があることがわかっていました。&+®は従来品と同じ品質を保っており、糸の白さにこだわっているとお伺いし、安心できると思い採用を決めました。

―サステナブルに関わる製品開発への今後の展望と、&+®がどのようにワコールさん(ウイングブランド)と携わっていけるかお教えください。

サステナブルに関わる製品は今後も積極的に取り入れていきたいです。お客様にご使用いただいた商品が実は環境に負荷の少ない商品で、気がつけばお客様が知らない間にお客様も環境に良いことができているような状態を目指しています。
ペットボトルリサイクル糸は環境配慮に取り組む第一歩ですが、ペットボトルから繊維に変わるまででは一方通行で、持続可能なファッション産業の実現にはまだまだ課題もあるように感じます。
サーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行が、ファッション産業が目指すべき1つの姿だとすれば、「&+®から&+®への再生技術の開発と製品回収まで含めた仕組みづくり」「&+®を100%使用しても着用快適性を損なわないための水分率や吸放湿性の付与」「マイクロプラスチックファイバーの環境汚染を減らすための生分解性の向上」「多面的な環境負荷・トレーサビリティの見える化と進捗管理」「お客様への正しい情報発信と啓発」等々に取り組む必要があるかと思います。
 地球環境問題は複雑ですが「Think globally, Act locally.(地球規模で考え、足元から行動せよ。)」の精神で&+®をきっかけに一歩ずつ着実に行動していければと思います。

今回インタビューにご協力いただいたのは、